全国学力テスト(小・中学校)の結果

 今年4月に実施された、全国学力テスト(小・中学校)の結果が公表された。

 大阪府知事は、大阪市長だった昨年8月、大阪市が多くの教科で指定都市での最下位が続く状況に対し、テスト結果を教員の評価に反映させる制度の検討および市長も責任を示すことを表明していた。

 今回、小学校の国語で最下位(2市同率)となり、今夏のボーナスを、被災地に寄付する形で返上する意向を示した。

 現在の大阪市長は、子どもたちにプレッシャーを与えることになるのでやめてほしいと言っている。


 知事は、「言ったことは守る」政治姿勢を明確にしましたが、そもそもの表明が、いささか短絡的だったのかもしれません。学力を、短期での他の指定都市との順位比較だけで評価して大丈夫なのでしょうか。

 今回、中学校で最下位を脱したのは大きな成果で、自分が声を上げたことで、学力を上げようという認識が強く植え付けられたと強調しました。

 平均正答率を見ると、最下位(同率2市)だった小学校の国語は58%。1位は69%、全国(公立)平均は63.8%。全国的にばらつきが大きく出ています。

 小学校の算数は65%で、ワースト3位(最下位と1%差)。しかし、1位でも70%、全国(公立)平均は66.6%。全国的にばらつきは小さくなっています。

 中学校の国語は70%で、ワースト3位(最下位と1%差)。1位は77%、全国(公立)平均は72.8%。全国的にばらつきは少なめです。

 中学校の数学は57%で、ワースト2位(最下位と1%差)。1位は63%、全国(公立)平均は59.8%。全国的にばらつきはかなり小さくなっています。

 中学校の英語は54%で、ワースト3位(同率2市、最下位と3%差)。1位は62%、全国(公立)平均は56.0%。全国的にばらつきは少なめです。

 数字を見ると、中学校で最下位を脱したと強調できるほどではありません。しかし、ばらつきが大きい小学校の国語を除くと、全国平均との差はそれほどありません。

 とりあえず学力をテスト結果で見るにしても、問題別の正答率など、もっと内容に踏み込んだ分析が必要です。テスト以外にも、学習状況に関する多数の質問調査(たとえば、授業の進め方に対する子どもの意識)がなされており、その結果も加味しないと評価しきれないでしょう。

 教育施策の効果は、もう少し期間をとり、また正答率以外の要素も含め見ていかないと適切にとらえられないと考えます。

 さらに、首長には、子どもたちが前向きに意欲をもって取り組んでいけるよう、影響力を考慮し発言していただきたいですね。