iPS細胞から作った角膜の細胞を患者の目に移植、視力が大幅に改善

 iPS細胞から作った角膜の細胞を世界で初めて患者の目に移植、ほぼ見えない状態だったが、視力が大幅に改善。8月29日大阪大が発表。

 患者の経過は順調。1年間、拒絶反応の有無や角膜の濁りの程度の検査を定期的に受ける。年内に2人目の手術を予定。2022年度までに計4人の移植と経過観察を終え、一般医療として25年ごろの保険適用を目指すとのこと。

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世界初 iPS角膜細胞を移植 | 2019/8/29(木) 16:30 - Yahoo!ニュース


 iPS細胞とは、「人工多能性幹細胞」の英語表記の頭文字をとったもの。世界で初めて作製に成功した京都大学山中伸弥教授が命名。その成果により、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、2014年にiPS細胞の臨床研究がスタートしています。

 人間の体細胞を、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化させる技術を山中教授のグループが開発し、この分野におけるブレイクスルーとなりました。

 iPS細胞は、再生医療や、病気の原因を解明し新しい薬の開発などに活用できると考えられています。

 再生医療は、病気や怪我などによって失われてしまった機能を回復させることを目的とした治療法です。今回の角膜の細胞の移植は、再生医療の一つです。iPS細胞から分化誘導した細胞を移植する細胞移植治療への応用が期待されています。

 iPS細胞から様々な組織や臓器を構成する細胞に分化することがわかっています。組織や臓器は、大量の細胞から成り立ち、臓器は立体的なものです。大量に増やした細胞がもとの通り機能してくれる必要があります。そのための研究・開発が今おこなわれているところで、これから発展が期待されている分野です。

 難治性疾患の患者さんの体細胞からiPS細胞を作り、それを患部の細胞に分化させ、その患部の状態や機能がどのように変化するかを研究し、病気の原因を解明する研究も期待されています。

 人体ではできないような薬剤の有効性や副作用を評価する検査や毒性のテストが可能になり、新しい薬の開発も大いに進むと考えられています。

 iPS細胞を利用した研究・開発にはまだ時間がかかるのでしょうが、将来、医療を大きく変えていくことになるはずです。