大雨のときの学校の臨時休校の判断についての疑問

 8月28日5時50分に、福岡県筑後地方、佐賀県長崎県北部・上五島に大雨特別警報が発表されました。


 こういう状況のもと、西日本新聞社に向け、福岡県や長崎県の読者から「小中学校は臨時休校なのに、高校はなぜ学校で対応が分かれるの?」と、疑問の声が寄せられた。

 福岡県では、高校生の子どもが自宅を出た後の午前7時20分に学校から「11時まで自宅待機」という連絡があった。

 長崎県では「娘の学校は避難指示が出ている地域にあるが、『交通機関が運行されていれば登校するように』と連絡があった」と。

 福岡県、佐賀県長崎県の県立高校は、すべて学校ごとに休校などを判断することになっている。

 福岡市の教育委員会は、前日午後7時半の時点で、市立小中学校と特別支援学校の臨時休校を決定。一方で、市立高校については4校中2校が臨時休校で、残る2校は通常通りの登校。市立高校の危機管理マニュアルでは、台風で暴風警報が出る場合は臨時休校になるが、大雨の場合は登校が基本。

 同じ市立でも小中学校と高校で対応が分かれるのは、小中学校と特別支援学校は市教委に管理責任があるが、高校は各学校に管理責任があるため。

 福岡市長は前日ツイッターで、高校も休みにしてほしいと返信してきた高校生の気持ちはわかるが、「大雨で遅れた場合でも遅刻にしないってことだから、充分気をつけて高校に行ってね。頑張れ」と投稿。これに対して「高校生の方が登下校も長いし危ない」「判断基準を見直してほしい」などの訴えが相次いだ。

 記事の全文は、

大雨、休校の判断はいつ? 決定後に「もう登校した」嘆きも(西日本新聞) - Yahoo!ニュース


 高校はなぜ学校で対応が分かれるのかについては、高校は学校ごとに判断することになっていることから、そういう状況が発生することはありうるわけです。

 高校の場合、生徒の居住する地域は、学校のある地域より広域(私立の場合はさらに)であり、判断が複雑になります。それだけ学校で対応が分かれる可能性は大きくなりえます。

 今回、疑問の声が出された要因の一つは、学校の判断基準が、台風の場合を想定していることに関連していると思われます。

 福岡市立高校では、台風で暴風警報が出る場合は臨時休校になるが、大雨の場合は登校が基本。

 福岡市の警報・注意報の発表履歴を見ると、前日夜18:48から大雨警報と洪水警報が出ており、当日朝7:44の時点では継続。暴風警報は出ていないものの同じ時間帯に強風注意報は出ています。

(大雨警報は28日23:32段階で継続。洪水警報は28日14:55に注意報に切り替わり18:15に解除。強風注意報は28日23:32に解除。)

 福岡市外の高校で、大雨警報と洪水警報の両方が出たら、それで臨時休校にしている学校もあります。

 今回のように長い時間大雨が続けば、台風接近でなくとも、さらにある時点で警報が出ているどうかだけで安全の判断をしきれないはずです。福岡市の高校生が市長に不安や見直しを訴えたのは、現実の状況を踏まえてのものと言えます。

 毎年のように異常気象が出現しており、今後もいろいろなことが起こり得ます。こういう機会に、危機管理が有効に機能するよう、マニュアルやその運用についてよく検討することが大事でしょう。

 それは、福岡県、佐賀県長崎県だけでなく、他の地域でも同じことですね。来年は、自校で発生するかもしれません。