厚生労働省の働き方改革に関し、省内の若手チームが厚労大臣に緊急提言

 厚生労働省働き方改革に取り組む若手チームが8月26日、根本厚労相に対し、緊急提言をした。

 厚労省は、業務改革の取り組みを進めるため、20、30代を中心とするに若手チームを結成。若手チームは、厚労省の業務・組織のあり方について、ヒアリング(退職者も含む)や対話、アンケート調査を行うなどして提言を取りまとめた。

 取り組みの動機は、自分たちが楽をしたい、待遇を良くしたいといったことではない。真に日本の社会経済・国民生活の向上に資する、信頼される組織に再生させる、国民一人一人の人生と生活をより良くするという想いと責任感に基づいて、提言の検討が進められてきた。

 厚労省の職員の実態は、過重な労働が強いられている。

 アンケート調査では、約50%の職員が「やりがいを感じる」とする一方で、65%の職員が自らの業務量を「非常に多い」「多い」と回答。

 「職員を大事にしない職場である」と回答したのは40%以上。

 3分の2の職員が「厚労省全体の人員が不足している」、半数の職員が「仕事や心身の健康に悪影響を与える職場である」、20代後半の職員の約半数が「辞めたいと思うことがある」と答えた。

 若手チームは、

 個人のモチベーションや組織のパフォーマンスが下がるだけでなく、劣悪な労働環境によって不祥事や離職者が生まれるといった「負のスパイラル」に陥っている。

 一番の不利益を受けるのは、何よりも厚生労働行政を必要としている国民。

 このような現状と決別し、徹底した時間・業務管理を行い、どのような働き方であっても実績に応じて評価され、処遇され、自分が目指すキャリアを追求できるような組織を目指さなければならない

と指摘し、提言を行った。

 根本厚労相は、「職員の声を重く受け止め、対応するよう指示したい」「厚生労働行政は国民に密着している。前向きに頑張ってもらいたい」と述べた。

 

  記事の全文は、

 人生の墓場 厚労省若手の叫び | 2019/8/26(月) 19:12 - Yahoo!ニュース

 

 厚労省は、「働き方改革」の旗振り役であり、省内の取り組みの状況は影響力が大きいと思われます。

 ところで、国家公務員の一般職には、労働組合法、労働関係調整法労働基準法最低賃金法、労働安全衛生法等の労働法は適用されません(国家公務員法)。

 職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国家公務員法及び他の法律に基づいて定められます。その内容が社会一般の情勢に適応するよう、人事院は変更に関し、随時国会に勧告することとされています。

 法律の規定の細部の必要な事項については、人事院規則で定められますが、勤務の基本的なところは、後追いで制定されしかも国会の議決が必要というわけです。

 たとえば、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律は、平成6年に制定されています。

 国家公務員採用総合職試験の合格者(2019年度大卒程度試験の倍率は13.5倍。難関国立大学やトップクラスの私立大学出身者が多い)は、いわゆるキャリアと呼ばれる霞が関で働くエリート官僚です。

  ※総合職も、国家公務員法が適用される一般職の中に含まれます。

 キャリアは、ある程度の役職まではエレベーター式で出世し、優秀な人は局長や事務次官などに昇進していきます。

 各省庁で、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とし、国会質問への対応などにも携わっています。それだけにかなりのハードワークが要求され、深夜・徹夜勤務などは当たり前と言われています。

 記事に出ていた厚労省の忙しさは格別で、国会答弁数、所属委員会の出席時間、審議会等の開催回数、国が被告となっている訴訟件数など他省に比べて随一の多さとのことです。

 キャリア以外の職員の負担も大きいはずです。

 そういう状況のもと出された提言の今後が、注目されます。