高校野球岩手大会の決勝で佐々木朗希投手を登板させずに敗れた監督の判断の賛否

 25日に行われた、全国高校野球選手権岩手大会の決勝で、大船渡高校は、最速163キロの佐々木朗希(ささきろうき)投手を出場させないまま敗退、甲子園への夢がついえました。

 監督は、「故障を防ぐため。投げられる状態ではあったが、3年間で一番壊れる可能性の高い試合だった。」(出場を)「決断できませんでした。」と述べています。 

 この監督判断について、賛否両論が出されています。報道から拾ってみると、
 
 学校には佐々木投手の起用法を批判する電話が殺到。生徒の安全を考慮し警察に見回り強化を要請したほど。

 地元の方にとって甲子園行きはとても大きなこと。たくさんの期待がある中、すぐに納得できる話ではないでしょう。

 同じ岩手県内の監督経験者は、「監督だったら投げさせた」「野手陣に、お前たちが打って点差をつけて楽に投げさせてあげようと鼓舞したと思う」と話すとともに、大船渡高校の監督の判断について、「勇気ある決断だった」「指導者にはケガのリスクと子どもの将来を考える義務がある」と受け止めていました。さらに、高校野球の予選のあり方の改善についても意見を述べていました。

 現場をよく知る立場から出た見方ですね。

 プロ野球関係者は、おおむね監督の判断を適切と評価しているようです。

 これだけの逸材、将来、自分のもとで育成し活躍させてみたいと思えば、甲子園出場にこだわり選手生命を危うくしてほしくないと考えるのは当然です。野球人生、日本の野球界の視点から見れば、やはり評価することになりそうです。

 

 私の考えは、まず、大船渡高校野球部の選手一人ひとりが、自分の気持ちをゆっくり消化していけるよう配慮してあげたいと思います。

 試合後、佐々木投手は「監督の判断なのでしょうがない」と話す一方、「投げたい気持ちはあった」と語ったとのこと。佐々木投手以外の選手も含め、今回の体験を糧に成長していってもらいたい。

 野球の試合は、監督が絶対的な権限をもって成り立っています。監督を任命した限り、その決断はまず尊重されるべきです。それでも、決断について妥当性が大きく欠けるようであれば、監督として不適格といえます。

 部外者が知り得ることはきわめて限定されますが、大船渡高校の監督が甲子園より選手の安全・将来を優先させたことは、十分了解できるところです。

 佐々木投手の大成を切に願っています。